子どもの頭痛について
子どもの頭痛の特徴と治療法について教えてください。
頭痛という症状は大人の病気と思われがちですが、実は子どもでも比較的よく遭遇する症状のひとつであり、決して珍しいものではありません。子どもの頭痛といえども基本的には大人の分類と変わりなく、頭痛それ自体がひとつの病気である一次性頭痛(機能性頭痛)と、脳やその周辺に器質的な病変を伴い、症状のひとつとして表れる二次性頭痛(症候性頭痛)に分類されます。子どもが頭痛を訴えると「風邪などの感染症かな?」あるいは「何か理由があるのかな?」などと思いがちですが、最近では朝起床時から頭痛を訴えて登校に支障を生じる子どもたちも見受けられています。今回は、子どもたちの頭痛の特徴や治療法、および保護者や学校関係者の方に知っておいていただきたいポイントについて解説していきます。

子どもの頭痛で気をつけるべきポイント

大人でも頭痛が起きたら仕事を休みたくなることもありますが、子どもにはその辛さをうまく表現できないかもしれません。頭痛の起こる頻度が月に1回程度で日常生活に支障がないものであれば、自宅で様子をみても問題はないように思えます。しかし、頭痛の頻度が多くて学校を休んだり、あるいは頭痛で寝込むなど日常生活に支障が出ることが増えてきた場合には、一度かかりつけ医や専門医に相談するほうがよいでしょう。
一般に、子どもに起こる頭痛は大きく分けて以下の3つのタイプがあり、それぞれ特徴があります。
  • 片頭痛
  • 緊張性頭痛
  • 混合型頭痛
頭痛と一緒に起こる症状や行動などから、どのタイプの頭痛なのかを大まかに絞ることができます。以下に代表的な子どもの頭痛の特徴をあげてみますので、参考にされてください。

子どもによく起こる頭痛

まずは、大人と同様に一次性頭痛の代表として片頭痛がよく見られています。片頭痛の有病率は、小学生で3.5%、中学生で4.8~5.0%、高校生で15.6%と言われています。小学生では男女差はみられませんが、思春期以降では女児の比率が高くなります。小学生までは比較的軽い頭痛でも、中学生以降の思春期では成人と同じく生活支障度の高い頭痛が多くなっていくのが特徴です。片頭痛では目の前が一過性にぼやけたり、きらきらする光が見えたり(閃輝暗点)、目の症状が前兆として起こることがあります。さらに、大人と同様にズキンズキンする脈打つ痛みとして表出されますが、小学校の低学年では適切に表現できないこともあります。同時に吐き気や嘔吐、あるいは光、音、臭いに敏感になることもあり、特にテレビ等の視覚や音刺激を嫌がり、暗い静かな部屋で寝たがる子が多いことも大人とよく似ています。また、多くの子どもは睡眠により軽快することが多く、翌朝には持ちこさないため学校の欠席もそれほど多くないようです。さらに、片頭痛では特定の家族、特に母親が片頭痛を持っていることも参考になります。
次は、大人でもよく遭遇する緊張型頭痛です。緊張型頭痛は日本人の最も多い頭痛であり、有病率は小学生で5.4%、中学生で11.2%、高校生で26.8%とされています。片頭痛ほどの強い症状はありませんが、だらだら続く締め付けられる「鈍い痛み」が特徴の頭痛です。特に、小学校高学年〜高校生の思春期になると学校や家庭でもいろんなストレスを自覚することが多くなり、毎日のように慢性的な頭痛を訴える子どもが多くなっていきます。さらには、片頭痛と緊張性頭痛の両方の特徴をかね備えている混合型頭痛も少なくなく、片頭痛や緊張型頭痛とは簡単には言えないタイプもあり、診断に迷うことも生じてきます。

きけんな頭痛

気をつけなければいけないのが、何らかの器質的な疾患や病態が原因で起こる二次性頭痛(症候性頭痛)です。発熱を伴う頭痛の場合には、風邪やインフルエンザなどの全身感染症の一症状として頭痛をきたすことがよくありますが、嘔吐などを伴えば髄膜炎、けいれんや意識障害が起これば脳炎の可能性を疑わなければなりません。但し、発熱がない場合でも脳の特殊な病気、もやもや病などの先天的な脳血管病、脳腫瘍あるいは水頭症でも頭痛で始まることがあります。このように二次性頭痛では、時に重篤な病気が潜んでいる場合がありますので、症状の度合いや緊急性あるいは頭痛以外の症状も見極めながら、適切に医療機関を受診することが必要になります。これまで当院で診療した子どもたちの中には、お蕎麦をフーフーしながら食べている際に頭痛と一過性の脱力発作(TIA)で受診され、もやもや病が見つかった小学生もいました。また、副鼻腔炎(蓄膿症)も頭痛の原因としてよく知られていますが、比較的炎症が強い副鼻腔炎(蓄膿症)ではCTやMRI検査でも比較的容易に診断することができます。頭痛を訴える子どもでは副鼻腔炎の併存が頭痛の悪化の一因になっていることもありますので、症例によっては頭痛の治療と並行して、もしくは頭痛の治療に先立って副鼻腔炎の治療を行うことも重要です。さらに、子どもでは転倒事故やスポーツ中の接触事故、および遊びの最中の頭部打撲など、頭や顔に直接的な衝撃を受けた後に発生する外傷性頭痛も数多く見られます。次第に頭痛が強くなったり、嘔吐を繰り返す場合などは、外見に異常がなくても脳の中に損傷が隠れていることもありますので、かかりつけ医や脳専門医にご相談ください。
なお、私の忘れられないケースには脳腫瘍の子ども達がいますが、脳腫瘍の場合には頭痛・視力低下・複視あるいはけいれん発作で病院を受診し、腫瘍の種類によっては手術や化学療法が必要になることもあります。できるだけ早期の発見が重要ですので、頭痛に加えて嘔吐、めまい、けいれんなどが見られる場合には、脳の損傷や出血などのダメージを疑わせるサインになりますので、脳神経外科などの専門医療機関を受診することを考えましよう。

片頭痛では何らかの引き金が存在することがあります

子どもの片頭痛でも、ストレスや精神的緊張、炎天下での運動、天候変化、月経周期、空腹、食品など、多くに要因によって頭痛が引き起こされたりします。特に過度なストレスや緊張状態から解放されたあとには頭痛が起こりやすく、定期試験やクラブ活動での試合後に頭痛を訴えることが多くでてくるようです。他には強い光や気圧の変化、人混みや匂いも誘因になることがあり、チーズや揚げ物、ヨーグルトなどの食べ物も、大人と同様に片頭痛の引き金になることもあります。

片頭痛が疑われる場合の特徴

【頻度・症状】
  • 月に数回の頻度で頭痛が起こる
  • 平日も休日も関係なく頭痛が起こる
  • 頭痛の程度は強いが1日以内に治ることが多く、眠ると改善している
  • 頭痛の前に目の前がチカチカしたり、見えにくくなったりすることがある
  • 生理(月経)期間に頭痛が悪化する
【行動・生活】
  • 頭痛が起こるとじっと動かなくなる
  • まぶしい光や大きな音を避ける(暗い部屋で寝たがる、テレビやゲームの画面を見ていられない、など)
  • 頭痛が治まれば、学校へ行ける(授業に戻ることができる)

緊張型頭痛はどのような時に起こりますか?

子どもの緊張型頭痛は、近年ではスマートフォンや電子メディアの使い過ぎで姿勢が悪くなり、肩や背中の「凝り」から起こったり、習い事や学校でのストレスが原因で起こったりするケースが多く見られています。症状としては、後頸部から後頭部、頭頂部、頭全体などが押さえられたり、締め付けられたりするように痛みます。いわゆる重い痛み、鈍痛のことが多く、片頭痛のようなひどい吐き気や嘔吐を伴うことはありません。また、緊張型頭痛ではめまい・浮遊感、あるいは手足のしびれ感を伴うこともありますが、片頭痛のように日常的な行動ができなくなるほどの強い症状はありません。その他、眼精疲労などが頭痛の要因となっていることもあります。また学童期からは塾通いが始まり、塾から帰ったあとにスマホ、ゲーム、あるいはYou Tubeなどで就寝時間が遅くなることも頭痛の引き金になっているようです。

緊張型頭痛が疑われる場合の特徴

【頻度・症状】
  • 2〜3日に1回以上の頻度で頭痛が起こり、学校を欠席することが多い
  • 平日の朝に頭痛が起こることが多く、休日はあまり起こらない
  • 頭痛のはじまりと終わりがはっきりしない。だらだらと続く
  • 吐き気はないか、あったとしても軽い
【行動・生活】
  • 頭痛中でも活動の制限が少ない(歩いたり、テレビやゲームの画面を見ていられる、など)
  • 朝の頭痛が治まっても、学校へ行けないことがある
  • 性格的にいくつかの特性がみられる(自分を出すのが苦手、人に気を遣う、完璧主義、プライドが高い、など)

毎日のように起こる慢性連日性頭痛とは?

慢性連日性頭痛とは毎日のように頭痛が起きる病気で、その有病率は1~4.5%、女子の方が男子よりも2~3倍高いと報告されています。このタイプでは緊張型頭痛の要素が強く、親や先生・友達との関係、いじめや成績などの心理・社会的な要因が関わっていることが多いようです。また、スポーツ系の部活動や規律の強い吹奏楽部などでは慢性的な緊張状態が続き、頭痛を訴えることも多くなるようです。さらには、まじめで反抗期のない「よい子」たちが、小学校よりも厳しい中学校生活で心理面での負担が増え、先生や友達との人間関係をうまく築けず、頭痛を訴えて学校を休みがちになるケースもでてきます。

起立性調節障害による頭痛

起立性調節障害とは循環器系の自律神経の調節に不調をきたすことが原因となり、朝が起きれない、立ちくらみ、めまい、倦怠感、動悸、失神などの症状とともに、高率に頭痛を合併する病気です。通常、我々は立ち上がったり、長時間立った状態を続けたりする場合には、重力に逆らって脳に十分な血流を送ろうとするため血圧や心拍数が上昇します。これは人体に生まれつき備わっている仕組みで、交感神経・副交感神経からなる自律神経によって司られています。しかし、この仕組みが上手くいかなくなったり、バランスが崩れると立ち上がったり長時間立っているときなどに脳への血流が相対的に低下し、立ちくらみなどの症状を引き起こします。起立性調節障害の有病率は軽症例を含めると中学生の約10%を占めるとも報告されており、多くの子どもたちを苦しめている思春期特有の病気です。起立性調節障害による頭痛は起床時から午前中にひどく、頭が重い感じの痛みもあれば、片頭痛のようにズキズキする痛みもあるようで、午後からは比較的楽になることが特徴のようです。そのため不登校との関連を指摘されることも多く、保護者は子どもの症状を「怠け癖」や、ゲームやスマホのしすぎ、夜更かし、学校嫌いなどが原因だと考えて、叱責したり、朝に無理やり起こそうとして、親子関係が悪化することが少なくありません。こういった場合には、まず「学校に行かない」のではなく、「行けない」のではないかと考えて、子どもと接した方がよいかもしれません。

もしかしたら脳の病気が潜んでいるのでは?と保護者の方は心配だと思います

子どもたちが頭痛を訴えた場合、親御さんであれば「もしかしたら、脳に怖い病気ができているのでは?」と心配されることがあると思います。そのような場合には頭部CTやMRI検査を行えば、治療を必要とする脳腫瘍・もやもや病・水頭症などの病気が隠れているのかを見極めることが可能となります。但し、髄膜炎・脳炎などの感染症で起こる頭痛の際には、CTやMRIでも異常として描出されないことがありますので注意が必要です。しかし、画像検査を受けることで「緊急を要する病気の可能性が低い」ことがわかれば、ほとんどの親御さんは安心し、安堵して帰宅されます。
一般に大人の頭痛の場合もそうですが、子供の頭痛の際にも「画像検査で異常はありませんでした。まずは鎮痛薬で様子をみましょう」で、診療自体が終わってしまうことが多いと思います。子どもではアセトアミノフェンやイブプロフェンという鎮痛薬以外に容易に使える薬はありませんし、頭痛の原因・要因をすべて除外したわけではありませんので、いずれまた頭痛が起きてしまうことがあります。親御さんの中には「画像検査で異常がないのに、なぜ頭痛が起こるのか?」を十分に理解してもらわないと、頭痛という病気・症状を正しく捉えられず、常に不安感に悩まされることにつながっていきます。大人の場合には、生活因子や心理的要素が頭痛の発生・増悪に関わっていることをよく経験しますが、子どもの場合にもこのようなストレスで頭痛が生じやすくなることもあるようです。ですので、傍にいる保護者の方々が、頭痛の大部分は決して怖い病気ではなく、急を要する特殊な病気ではないことを再認識することが大切かもしれません。しかしながら、本当に器質的な異常がないことを画像検査で確認することが第一歩となりますので、どうしても脳の怖い病気を心配されている場合には、ぜひ最寄りの脳専門医にご相談してみてください。

子どもの頭痛にはどう対応したらいいですか?

子どもの頭痛では薬で対応するという方法もありますが、成人と比較すると症状が軽いものが多いため、まずは家庭でできる「非薬物療法」から始めることが勧められています。その基本は「規則正しい生活を送れているか?」「睡眠時間は十分にとれているか?」が大切です。すなわち、頭痛の予防には規則的な生活リズムを守ることが重要であり、スマホやタブレットを長時間見続けると眼精疲労や姿勢の悪化を招き、頭痛が生じやすくなります。また、勉強や読書の合間にも休憩を入れて目を休めることも必要であり、筋緊張を和らげる頭痛体操も効果的と言われています。さらに片頭痛の場合には、その誘因となる食品や光、匂いなどを避けることも大切ですが、こうした努力を行っても改善が見られない場合には、大人と同様に鎮痛薬(アセトアミノフェン・イブプロフェン)による「薬物治療」を考えましょう。一方、緊張型頭痛の場合には、痛みがダラダラと続くことが多く、鎮痛薬を使用するタイミングが難しく、子どもでは薬が効いた感触もはっきりしません。そのため、緊張型の頭痛では薬には頼らずに、日常生活の環境を整える「非薬物療法」を主体に対応することが大切かもしれません。

子どもの片頭痛の治療

急性期治療(痛みを治す・やわらげる治療)

子どもの片頭痛で薬が必要な場合には、前述のようにアセトアミノフェンやイブプロフェンが使われますが、片頭痛時には痛みが始まったら出来るだけ早めに薬を飲むことが勧められています。しかし、鎮痛剤だけでは効果が薄い場合には片頭痛に特化したトリプタン製剤を使用してもらいます。トリプタン製剤は片頭痛のために拡張した血管を収縮させる働きがあり、さらに脳で産生される痛みの原因物質の分泌を抑えたり、あるいは痛みが伝わる速度を抑えることなどで片頭痛の痛みを選択的に抑える薬です。一般的な痛み止めとは作用機序が異なるため、片頭痛以外の痛みにはまったく効果がありません。本邦においては、トリプタン製剤は8才以上の小児ではスマトリプタン点鼻液の有効性が認められていますが、それ以外の経口トリプタン製剤に関しては、今のところ小児に対する有効性は証明されていません。ただし、経口トリプタン製剤が有効な小児例は実臨床では経験されており、小児での特別な副作用の報告も乏しいため、アセトアミノフェン・イブプロフェンで頭痛がうまくコントロールできない場合には、その使用を検討しています。その場合、年令が12才以上、かつ体重40kg以上であれば成人と同じ量を使用できますが、年令8才以上~12才未満、および体重25kg以上~40kg未満の小児では、成人の半量が処方量の目安になります。

予防治療(頭痛の回数・頻度を減らす治療)

子どもの場合にも日常生活に影響を与える頭痛が月に4回以上ある場合や、頭痛の回数が少なくても生活に支障がでている場合には予防薬の導入を検討することがあります。但し、成人に比べて小児例では予防薬治療の適応となる例はそれほど多くありませんので、今のところ確立された考え方はないと思います。一般に年長児ではトリプタノール、年少児ではシプロヘプタジンが使用される報告がありますが、日本では副作用の少なさや忍容性の良さから塩酸ロメリジンを第一選択薬とする専門家も多いかもしれません。また、成人例ではバルプロ酸の有益性を実感することも多くありますが、催奇形性の可能性もあり使用する年齢によっては注意が必要です。また、薬の予防効果を得るためには定期服用が必要であり、さらに効果が表れるまでは2~3か月を要するとも言われ、根気強く薬を服用することが大切だと思われます。

大人で使用している抗CGRP製剤は子どもでも使えるの?

最近、大人の片頭痛では注射(抗CGRP製剤)による予防治療が効果的であり、多くの片頭痛例でその有用性が示されています。ところが実際の臨床試験においては、18歳以上の成人でのみ試験はされておらず、18歳未満の小児例での効果については確認されておりません。しかし、生物学的成人の概念では15歳以上からが適応という解釈もなされており、実臨床では15歳から使用されているようです。また、最近の臨床試験では12歳からの抗CGRP製剤の投与が実施されており、数年以内には適応年齢が下がることが期待されています。

子どもの緊張型頭痛の治療

緊張型頭痛の治療としては、姿勢の矯正、ゲームやパソコン使用の制限、ストレッチ、頭痛体操、マッサージなどの非薬物療法があります。痛みを感じる部位を蒸しタオルなどで温めることや入浴も効果が期待できます。さらに薬物療法としては、鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェン)や筋弛緩薬(エペリゾン、チザニジン)が用いられることがありますが、大人ほど薬物療法の効果が明白ではないようです。

子どもの頭痛は冷やした方がいいの?それとも温める方がいいの?

昔から頭痛の対処法のひとつとして患部を冷やしたり、温めたりするのが効果的とされています。しかし、それは頭痛の種類によって対処法が異なりますので、痛みの感じ方や他の症状を見て対応するようにしましょう。
片頭痛の場合には、脳の血管が拡張することで痛みが生じていると考えられており、冷やすと血管が収縮するので痛みが軽減されます。ズキズキと脈打つような痛みを感じたら、冷やしたタオル、氷枕、ガーゼを巻いた保冷剤などで頭の痛む部分を冷やしてみましょう。
緊張型頭痛の場合には、首や肩周りなどの筋肉が緊張して血流が悪くなることで起こることが多いようです。血流を良くすると痛みが緩和されるので、頭全体が重く締め付けられるように痛むときは、患部を温めるのがお勧めです。また、筋肉の緊張をほぐして血流を良くするためにストレッチやマッサージを行うことも、緊張型頭痛では効果的になってきますので、ご自宅でも試みてください。

子どもは症状や経過を言葉でうまく表現できないことがあります

片頭痛という病気は、患者さんからの聞き取りや詳細な問診が重要な診断の手掛かりになりますので、頭痛のある本人自身が詳しく病状を説明できないと診断が難しくなってきます。すなわち、小児では症状の特徴や経過を正確に伝えられなかったり、あるいは大人であれば異常と認識できることが異常とは思っていない場面があるかもしれません。もし、頭を痛がっている子どもから話を聞く際には、このようなことについても注意を払う必要があります。また片頭痛の場合には、閃輝暗点や光過敏・音過敏といった特徴ある前兆を伴っていることがありますので、「きらきらするような模様が目の前でチカチカすることはあるか?」と積極的に聞き出すとよいでしょう。また光過敏は丁寧に説明しても理解しづらい概念ですので、たとえば「カーテンを閉めてほしくなる」「窓の近くには行きたくなくなる」「スマホやテレビの画面がまぶしく感じる」などと言いかえると必要な情報が得られることもあるかもしれません。

学校では片頭痛に対する理解が得られていないことがあります

片頭痛は発作時には激しい頭痛や嘔気、倦怠感などが出現するものの、早ければ数時間程度で症状が治ってしまうため、「授業中にはぐったりしていたのに、昼休みになると元気に遊びまわっており、仮病じゃないか?」と疑われる場合もあるようです。また、片頭痛は我慢できないほどの強い痛みですが、できるだけ早めに鎮痛剤を飲むことで痛みがひどくならなくてすむことがあるので、たとえ授業中でも早めに薬を服用した方がよい場合がでてきます。但し、授業中の発作の場合にはどうしても周囲の目を気にしてしまい、不必要に痛みを我慢したり、あるいは周囲から不適切な評価や扱いを受けてしまう可能性もあるため、学校での環境整備がとても重要になることがあるようです。
  • 担任教員:授業中に鎮痛剤の内服をする、窓側ではない場所に席を設ける、他の生徒との環境整備などについて担任教員とあらかじめ相談しておくとよいでしょう。
  • 養護教諭:頭痛発作時には保健室での休息が必要になることもあるため、あらかじめ片頭痛について伝えておくと良いでしょう。

まとめ

子どもの頭痛はその原因や症状は多様ですが、その多くは軽症であり、実際に緊急対応が必要になることは少ないのが現状です。しかし、稀に怖い病気(もやもや病、脳腫瘍、髄膜炎/脳炎、水頭症など)が隠れていることがありますので、脳の器質的な病気を心配されている方は脳の専門医受診を検討してみてください。
また、子どもたちは生活習慣や環境の影響を受けやすく、長時間のスマホやタブレットの使用、あるいは姿勢の悪さなどで頭痛が生じやすくなることもあります。さらに、学校生活や家庭環境でのストレスも頭痛を引き起こす要因にもなりますので、親や教師が子どものストレス軽減をサポートすることを忘れないことも、大切な予防策につながっていくかもしれません。