健康診断
自分の身の回りのことを自分でできる時間を延ばすために
歳をとっても「自分の身の回りのことは自分でできる」「自分の足で歩き、トイレに行ける」というのはみんなの願いです。健康な時には「できて当たり前」のことですが、病気になると以前の「当たり前」が簡単には出来なくなることもあります。「できる限り元気で、人生を楽しみたい」、そのためにはどのような行動をとればよいのでしょうか?
腹八分目に食べ、適度な運動をし、ストレスをためないことですが、わかっていてもなかなか難しいですね。自分で行動することが難しい場合もあれば、行動したいけれどできない場合もあります。そこで、病気が進行してしまう前に、できるだけ早く発見できれば、治療も大事に至らないこともあります。皆さんが健康診断をされるのはそのためだと思います。
「健康診断」と「人間ドック」とは何が違うの?
「健康診断」も「人間ドック」も“病気の早期発見”や“健康の維持増進”を目的としているところは共通していますが、健康診断には法的義務があり、人間ドックには法的義務がないという明確な違いもあります。健康診断の中には、企業に勤めている方が受ける「一般健康診断」、また生活習慣病の予防・早期発見を目的に40~74歳の人を対象とした「特定健康診断」などがあります。では「健康診断」と「人間ドック」では、具体的に何が違うでしょうか?
一般的な健康診断は健康状態を大まかにチェックすることが目的ですので、身体計測・血液検査・胸部X線・尿検査などが中心で、費用も無料か低額です。一方、人間ドックでは健康状態を詳しく精密にチエックする専門的な検査であり費用は自己負担ですが、通常の「健康診断」では見つけることができない“病気の早期発見”ができるところが最大のメリットです。
当クリニックでも人間ドッグを始めます
当院には16列マルチスライスCTと1.5テスラの最新のMRI、さらに超音波検査装置、血圧脈波計、重心動揺計、心電図など多くの医療機器を備えています。皆さんの中には、毎年大まかな健康診断はしているけど、「身内にがんや脳卒中が多いから」「友人が急に膵臓がんで亡くなったから」「最近調子がどうも悪いから」、「もう少し詳しく調べてほしい」と希望される方もいらっしゃると思います。がんの中でも、肺癌やすい臓がんなどは自覚症状に乏しく、何らかの症状が出る時にはかなり進行していることがあります。
また、脳・頭部領域においては動脈硬化の状態や認知症リスクを基本的な「一般健康診断」だけで知ることは到底できません。但し、身体に負担の少ないMRIやMRA検査を行うことで動脈硬化の状態や認知症リスクを比較的容易に知ることができますので、症状が出る前に早めに薬物療法や食事療法などを開始することも可能になります。
当院では「もう少し詳しく調べてみたい」という健康への意識の高い方へ、専門ドッグによる検査機会を作らせていただきました。

脳ドック

動脈硬化の程度や隠れ脳梗塞の有無、認知症のリスクを予測できます!!
脳は私たちの意識や運動機能、神経機能の司令塔です。脳に異常が起こると意識が障害されたり、麻痺が出たり、言葉をうまく話せないなど様々な障害が出て、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
最近よく耳にする生活習慣病は脳血管障害につながることがありますが、なかでも高血圧症、糖尿病、肥満、高脂血症は成人期の日本人に多い慢性疾患です。これらの慢性疾患は動脈硬化を進行・助長させ、ある日突発的に脳血管がつまったり、破けたりする脳卒中という怖い病気を引き起こしますことが特徴となります。また、身内に高血圧症、糖尿病、肥満、高脂血症、あるいは脳卒中や心疾患などの治療歴がある方がいる場合には、その体質が似ることもあります。
年に一度は今の身体状況を確認し、病気になる危険性や脳卒中リスクを定期的にcheckしながら、健康寿命を延ばすために軌道修正を考える機会をもちませんか?
脳のイラスト
※なお、日頃から頭痛・めまい・しびれ、あるいは物忘れ等の症状で悩まれている方は、保険診療のルール範囲内での専門的検査(CT・MRI検査)が可能ですので、あえて人間ドッグという枠での“自由診療(実費)”を行う必要はありません。

脳ドックの流れ

事前に受診予約(申し込み)をする
予約日(検査日)に来院
問診票を記入する
後日検査結果を聞く日時を決める
検査結果を聞く〈医師・保健師〉

検査項目・費用

脳ドックは頭部MRI/MRA、頸動脈エコーなどの複数の検査を組み合わせて行うことで、脳の病気や異変、リスク要因を見つけ出すことを目的にした専門ドックです。
発見できる病気としては、脳血管疾患、脳腫瘍、認知症などが挙げられますが、標準的な脳ドックでは脳血管疾患の発見に絞り込んだ検査(頭部MRI/MRAと頸動脈エコー)が行われます。また、より幅広い脳ドックではスタンダードな検査に加えて脳血管疾患のリスク要因となる高血圧や動脈硬化、不整脈などを調べたり、認知症リスクや認知症の徴候が出ていないかなどを調べたりすることも行っています。なお、検査にかかる時間は、着替えや検査後の結果説明の時間を含めると、1時間半~2時間ほどかかります
※日頃から頭痛・めまい・しびれ、あるいは物忘れ等の症状で悩まれている方は、保険診療のルール範囲内での専門的検査(CT・MRI検査)が可能ですので、あえて人間ドッグという枠での“自由診療(実費)”を行う必要はありません。
検査項目 所要時間 料金(税込)
基本検査
(身長、体重、血圧、脈拍)
約60分 19,800円
頭部MRI・MRA検査
頸動脈MRA検査

オプション

検査項目 所要時間 料金(税込)
頸動脈エコー検査 約20分 3,300円
心電図 約5分 1,430円
ABI(血圧脈波)検査 約5分 1,650円
血液検査 約5分 3,300円
VSRAD(脳の萎縮度検査/早期アルツハイマー型認知症診断支援システム) 約10分 1,100円
改訂長谷川式簡易知能評価スケール(認知力チェック) 約5分 1,100円

検査時の注意点

  • MRIは磁器を用いる検査装置のため、金属を含む装飾品などは外しておく
  • メイクをしたままの検査、コンタクトレンズの装着
  • 義歯や入れ歯の使用

検査を受診できない恐れのある人

  • 妊娠中、妊娠の可能性がある人
  • ペースメーカーを使用している人
  • 過去に脳動脈瘤のクリップ手術を受けたことがある人
  • 手術などで金属が体内にあると言われている人
  • 刺青(タトゥー)をしている人
  • 閉所恐怖症の人

肺ドック

肺疾患の早期発見・早期治療があなたの命を守ります!!
2021年のがんで死亡した方の内訳では「 肺がん」が男女ともに最も多く、がんの発生数が最も多い「大腸がん」や、男性特有の「前立腺がん」あるいは女性を悩ます「乳がん」を追い抜いて年間に7万人を超える方が肺がんで命を落としています。
肺がんは肺の入口付近に発生する「中心型肺がん」と、肺の奥の方に発生する「末梢型肺がん」があります。喫煙者に多い中心型肺がんは比較的早い時期から咳・痰・血痰などの症状が出やすいのですが、肺がんの7割を占める末梢型肺がんは早期にはほとんど症状がないことが特徴です。
肺がんは60歳以上で急激に罹患率か高まりますが、発見された時には既に病状が進行していることも多く、肺がんの5年生存率を低くしている原因の一つだと考えられます。ですから自覚症状がなくても健診目的に何らかの画像検査を行って、異常箇所を早期に見つけ出すことが肺がん治療の大きなカギとなります。
肺のイラスト
これまで肺がん検診には胸部レントゲン撮影が用いられてきましたが、心臓や大血管に隠れた「がん陰影」はレントゲン撮影では写らないこともあります。そのため肺ドッグの検査法としてCT検査を用いているところもありますが、検診として使用するためには通常のCTよりも放射線量を抑え、被ばく線量を減らすことが大切となります。また、CT検査ではレントゲン撮影よりも肺がんの発見率が高いのが特徴ですので、発見しにくい肺がんをより早期に見つけ出し、適切な治療が実施できた場合には5年生存率が80%以上と高い生存率が得られるようになることもわかってきています。
おおしろ脳神経外科では、地域の皆様が足を運びやすく、しかもできるだけお安い値段で健診を受けることができるようにと考え、今回の肺ドッグ検診を開始しました。なお、CT検査後は放射線科の専門医(林外科の林由紀子先生)による読影を依頼しております。もし「肺がん等の異常病変」が疑われた場合には、さらに呼吸器外科の専門医に精密検査の必要性を相談しながら、必要に応じて福岡大学病院や福岡東医療センターといった基幹病院をご紹介させていただきます。

次のような方には肺ドックをおすすめします

以前から“喫煙と肺癌との関係”は指摘されていましたが、最近では非喫煙者のがんが増加しているようです。また、PM2.5などによる大気汚染や環境要因も肺がん発生と関連があるのではないかと言われています。
以下に該当する方は定期的な肺ドックを受けることをおすすめします。
  • 喫煙者、喫煙歴のある方
  • 家族(血縁者)に肺がんになった方がいる
  • 粉塵・アスベストに接触したことがある方
  • 咳や痰(血痰)が続いている方

肺ドックの流れ

事前に受診予約(申し込み)をする
検査日に来院し、検査を受ける
結果を聞くために来院する

検査項目

健診用肺CT検査

エックス線を出すCT装置による胸部断層撮影のことをいいます。撮影の際には10秒ほどの息止めが必要ですが、胸部レントゲン検査に比べて精密に細かく撮影できるため、肺の中にできた炎症や腫瘤あるいは石灰化など異常影を的確にとらえることができます。胸部CT検査では肺がんはもちろんですが、肺炎や肺気腫、あるいは石灰化や縦隔腫瘍なども容易に見つけだすことができるのです。なお、CT検査による肺がん発見率は胸部レントゲン撮影の約8倍、そして2cm未満の早期肺がんの発見率は約5倍という報告もあり、極めて有用性の高い検査となります。

腫瘍マーカー(オプション検査)

肺がんには腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんなど幾つかの種類があります。そのため肺がんでは幾つかの腫瘍マーカーをスクリーニングとして評価することがありますが、最も有用性が高く望ましい組み合わせはCEA、シフラ、ProGRPの3項目と言われています。

費用

検査項目 料金(税込)
健診用肺CT検査 お一人で申し込みの場合 8,800円(税込)
ご夫婦や友人など、お二人で申し込みの場合はペア割オプション 7,700円 / 1人(税込)
腫瘍マーカー検査(CEA、シフラ、ProGRP) 4,400円(税込)

検査時の注意点

  • エックス線を使用するため、妊娠中またはその可能性がある方は検査を受けられません。
  • 心臓ペースメーカーまたは植込み型除細動器を使用中の方は、機種によってはCT検査が受けられない場合がありますので、主治医にご確認ください。
  • 撮影の際は上半身のネックレスやエレキバン等の金属類を外してください。
  • 検査の前の食事制限などはございません。